Dissect biomedical phenomena with advanced genomic technologies

次世代シーケンサー(NGS)やアレイ解析等の先進的解析技術を用いて取得したゲノム、エピゲノム、トランスクリプトームなどの多重な生命情報を統合し、生命現象、とりわけがんなどの疾患をシステムとして理解することを目指しています。大量情報処理は生命科学が直面する大きな課題であり、情報科学者と実験系研究者が融合した研究環境作りを行っています。 1)NGS技術の進歩は個人、さらには単一細胞のゲノム情報を決定することを可能にしました。がん細胞のゲノムに蓄積した多くの遺伝子変異はがん遺伝子の活性化やがん抑制遺伝子の不活化をもたらし、細胞の癌化、悪性化につながると考えられます。症例毎に生じる遺伝子変異は異なるため、肝がんや胃がんの遺伝子変異を同定し、発がんメカニズムの解明を目指しています。 2)エピゲノム標識は、DNAメチル化やヒストンアセチル化、メチル化など後天的な化学修飾によって形成される「細胞レベルの記憶」といえます。エピゲノム情報は、細胞分化、疾患、外界からのストレスによってダイナミックに変動することから、クロマチン免疫沈降、DNAメチル化、クロマチン相互作用、非コードRNAについてゲノム機能制御機構の解析を進めています。 3)がん細胞ゲノムに生じた遺伝子変異やエピゲノム変異は正常細胞には存在せず、がん細胞のみが保有することから、特異的な分子治療標的、診断マーカーとして有用であり、NGSを用いた変異解析やトランスクリプトーム解析によって新たな創薬標的分子探索やゲノム医療を進めています。

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