Title:
光感受性色素とイムノトキシンを用いた新規がん治療法(iTAP法)の開発
Presenter:
浜窪 隆雄
Affiliation:
日本医科大学先端医学研究所 タンパク質間相互作用学講座 社会連携講座、株式会社PhotoQ3
Date:
Feb 28th (Mon), 12pm~
2022.02.18
Title:
光感受性色素とイムノトキシンを用いた新規がん治療法(iTAP法)の開発
Presenter:
浜窪 隆雄
Affiliation:
日本医科大学先端医学研究所 タンパク質間相互作用学講座 社会連携講座、株式会社PhotoQ3
Date:
Feb 28th (Mon), 12pm~
浜窪 隆雄
(日本医科大学先端医学研究所 タンパク質間相互作用学講座 社会連携講座、株式会社PhotoQ3 代表取締役)
抗体医薬はがん治療薬で重要な役割を担っている。しかし、固形がんに対しては、まだ十分な効果があるといえない。抗体に毒素を付加したイムノトキシンも様々な開発が行われているが、薬効と毒性の間の治療域が十分に広くないことから、副作用が懸念される。
一方、急速に高齢化社会が進み、機能を損なわずクオリティの高い社会生活を送るため、非侵襲的な治療法が望まれている。我々は、がん細胞特異的抗体や、トキシン(タンパク性毒物)に加えて、光と光感受性色素を用いることにより、トキシンをがん細胞質内に送達することにより、数百倍のがん細胞殺傷効果を得ることに成功した(iTAP:intelligent Targeted Antibody Phototherapy法)。光感受性色素を用いるがん治療法は、光線力学療法(PDT: Photodynamic therapy)として長い歴史を持ち、特に日本では世界に先駆けて早期肺がん治療に用いられている。しかし、いまだがん細胞殺傷能力が弱いことや、光が深部に到達しにくいことなどから浸潤がんへの適応が限定的である。PDTで用いられる光感受性色素はほぼiTAP効果をもっており、治療域を広げることができる。
我々は、日本でPDTに用いられているレザフィリンも十分なiTAP効果があることを確認している。iTAP法では、イムノトキシンおよびPDTの相乗的効果が見込まれ、両者の用量を少なくし、光照射量も低減できることから、副作用が少なく薬効が高いがんの集学的治療法として期待される。
参考文献
ホームページ
略歴
1987年 京都大学医学研究科博士課程修了
1987年 京都大学医学部臨床検査医学 助手
1993年 バンダービルト大学医学部生化学教室 助手
1995年 京都大学化学研究所生体反応設計部門 助手
1996年 東京大学先端科学技術研究センター分子生物医学部門 助手
2002年 東京大学先端科学技術研究センター分子生物医学部門 教授
2013年 東京大学先端科学技術研究センター計量生物医学部門 教授
2018年 日本医科大学先端医学研究所タンパク質間相互作用学部門 社会連携講座教授
2021年 株式会社PhotoQ3 代表取締役