2021年秋の叙勲において、本学名誉教授で先端研フェローの谷口維紹先生が瑞宝重光章を受章されました。
谷口先生は、チューリッヒ大学大学院をご卒業後、癌研究会癌研究所、大阪大学細胞工学センターを経て1995年に本学医学部・医学系研究科・免疫学講座教授に就任されました。また、医学部・疾患生命工学センター長、東京大学―マックス・プランク統合炎症学センター長としても、本学において大きな貢献を果されました。
谷口先生は、日本の組換えDNA研究の先駆者の一人として世界に先駆けてヒトインターフェロンの遺伝子組換えに成功し、引き続きがんの免疫療法に必須の分子であるインターロイキン2の遺伝子組換えにも成功しました。それ以来、これらの免疫調節因子(サイトカインと総称)を基軸としてその遺伝子発現やシグナル伝達機構を解明されましたが、中でもIRFと呼ばれる転写因子ファミリーを発見し、がんや免疫系におけるその機能解明に大きく貢献しました。先生はおよそ300報の欧文論文を発表していますが、その中でNature,Science,Cell 紙に発表している論文は60近くに上ります。また、一連の研究を通して多くの人材の育成にも貢献されています。
谷口先生の業績に対しては、1991年ロベルト・コッホ賞、2000年日本学士院賞など多くの賞を受賞され、さらに2009年には文化功労者として顕彰されています。また、米国科学アカデミー、米国医学アカデミー、EMBOの外国人会員等に選出されており、また長年に亘りProceedings of the National Academy of Sciences,eLife等の学術雑誌のエディターを務められ、国際的にも著名な先生です。
2012年3月に医学系研究科を定年退職されてからも、生産技術研究所特任教授を経て、2021年4月からは先端研のフェローとして、日本の学術のさらなる発展に多大な貢献をされています。
先生の今回のご受章を心からお喜び申し上げますとともに、今後のますますのご健康とご活躍をお祈りいたします。
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(原文URL:https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/report/20211108.html)