この度、東京大学名誉教授で、先端研フェローの藤田敏郎先生が令和3年春の瑞宝中綬章を受章されました。
藤田先生は、永く高血圧・腎臓病分野において、診療、教育、研究にご尽力され、内科学の発展に大いに貢献されました。特に研究面では、「食塩による高血圧発症のメカニズムと臓器障害発症の機序」の解明を行い、新規の分子経路を発見されました。さらにこれらの基礎研究の知見を、二重盲検比較臨床試験によって証明されました。学術活動においては、日本内科学会理事長、日本高血圧学会理事長、日本腎臓学会及び日本内分泌学会会長を歴任されました。豊富な知識と優れた指導力から、国際的にも活躍され、Gordon Research Conferenceの会長を務め、また米国ハーバード大学の客員教授として招聘されました。卓越した研究業績と精力的な学術活動は国内外の研究推進の原動力となったばかりか、世界の高血圧・腎臓病の治療指針の礎を築くことに大きく貢献しました。また“Physician scientist”として歩んでこられた姿は多くの若い医師や研究者に強い影響を与えてきました。
藤田先生は、これらの業績に関して、2014年国際高血圧学会(ISH)Franz Volhard Award(日本人初)と米国心臓協会(AHA)The Excellence Award for Hypertension Research の2つの最高栄誉賞を授与されました。2015年春には紫綬褒章を受章され、同年日本医師会医学賞、2019年には米国腎臓学会(ASN)から最も権威ある Homer W. Smith Award(アジア人初)を受賞されています。
この度のご受章をお喜び申し上げるとともに、今後のご健勝と益々のご活躍をお祈り申し上げます。
(特任准教授 河原崎 和歌子)