坂田莉奈さん(谷内江研究室, 令和2年度秋季卒業)が令和2年度「東京大学総長大賞」を受賞されました

先端研 谷内江研究室で、昨夏まで卒業研究に取り組まれた坂田莉奈さん(令和2年度秋季教養学部卒業)が、「学業:同時塩基置換を誘導するゲノム編集技術の開発」により、令和2年度の学生表彰「東京大学総長賞」の総長大賞を受賞されました。

 

受賞内容について

近年、CRISPR-Cas9ゲノム編集技術が様々な生物においてゲノムDNA配列の編集を可能にする技術として急速に発展している。特に、狙ったDNA配列中の特定の塩基を置き換えることのできる塩基編集技術が医療応用などを視野に重要であると考えられているが、これまでに開発されたものはC→TまたはA→Gのいずれか一種類の編集に限られていた。坂田莉奈氏は狙ったDNA配列領域のC→Tおよび A→Gの異種塩基置換を同時に達成できる新規ゲノム編集技術「Target-ACEmax」の開発に成功した。その成果は国際科学論文雑誌「Nature Biotechnology」に坂田氏を共同筆頭著者として掲載された他、ハーバード大での招待講演など、国内外の数多くの学会でも評価された。

 

受賞のコメント

先端研(合成生物学分野 谷内江研究室)で学部2年生から行った研究成果に関して令和2年度総長賞大賞を受賞させていただきました。この賞を受賞するにあたって、研究を始めて間もなく未熟な私を支え続けてくださった谷内江研の皆さんに深く感謝申し上げます。特に谷内江先生をはじめ、論文の共同筆頭著者である、石黒宗さんと森秀人さんや、増山七海さんを始めとする共同研究者の皆様には実験技術から研究の楽しさに至るまで熱く指導していただきました。また、先端研は様々な分野の最先端の研究者の方々が集まっており、その中で多くの刺激を受けながら研究に励ことができました。
現在私はバンクーバーのThe University of British Columbiaに移動した谷内江研で引き続き研究しております。 これからもワクワクするような研究、そして世の中に役立てられる研究を目指し、より一層研究に励んで参りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

谷内江客員准教授より

坂田さんは学部2年生のときに研究室に飛び込んできて、先輩の石黒君や森君と議論しながら毎日授業の合間を縫って実験をしてめきめき実力をつけながら異種同時塩基編集ツールを開発しました。知識を得ることやプロフェッショナルのサイエンスを営むことに年齢や学年の差がないことを見事に見せてくれました。またこの成果は研究室メンバーが上下関係なくフラットに尊敬し合う気持ちの良い研究室環境を構築してくれていることの賜でもあります。

研究室にて

先端研の研究室にて、左から森秀人さん(当時交流研究生)、石黒宗さん(当時博士研究員)と坂田さん

 

(原文URL:https://rcast-8435.alaya.kanata-jp.net/alaya/preview?path=86291107406693e072fa36e946b88d780bc822026fbdde756ce546cceb3c6dffe87f2dae8a34560dcfa18702d68d348002b9288f47b56042&pageid=000005795&e=d8a83aeea7fc21b6e1373ece83636e33cc7b770a3d345bd9661869e2887bc5f4