アルドステロンと高血圧~腎尿細管ナトリウム輸送体の活性化機構~

東京大学先端科学技術センター臨床エピジェネティクス寄付研究部門の 鮎澤信宏特任助教および 藤田敏郎名誉教授は、腎臓でナトリウムを保持するアルドステロンというホルモンが高血圧を生じるメカニズムについて解説しました。
本研究成果は、米国腎臓学会誌JASNの2月号に掲載されました。

【概要】

約四億年前、海から陸に上がった生物は、塩のない陸上で生活するために腎臓でナトリウムを保持するアルドステロンというホルモンを初めて有することになる。そのためアルドステロンが欠損すると体内からナトリウムが喪失され、生存できない。しかし、アルドステロンが過剰になるとナトリウムが貯留して高血圧を発症し、心筋梗塞や脳卒中の原因となる。肥満者はアルドステロンが過剰に分泌され、その受容体の鉱質コルチコイド受容体が活性化するために高血圧を生じる。本論文ではアルドステロン過剰の病態が、腎臓のナトリウム輸送体の活性化を介して、高血圧を生じるメカニズムを解説する。
(2019年度米国腎臓学会Homer Smith Award受賞講演に基づく)

 

肥満者の脂肪細胞、脂肪細胞由来アルドステロン分泌刺激因子、副腎からアルドステロン過剰分泌、腎臓の鉱質コルチコイド受容体活性化、食塩感受性高血圧・腎障害

図:鉱質コルチコイド受容体を介した肥満者の高血圧と腎障害のメカニズム ©Toshiro Fujita

 

【論文情報】
雑誌名:
「Journal of the American Society of Nephrology」(Vol. 32, Issue 2, February 2021 )
論文タイトル:
The Mineralocorticoid Receptor in Salt-Sensitive Hypertension and Renal Injury
著者:
Nobuhiro Ayuzawa and Toshiro Fujita
URL :

https://jasn.asnjournals.org/content/32/2/279

 

(原文URL:https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/report/page_01218.html