谷内江 望

PROFILE

2005.03: 慶應義塾大学環境情報学部卒業
2007.03: 慶應義塾大学政策・メディア研究科バイオインフォマティクスプログラム 修士
2009.04: 慶應義塾大学政策・メディア研究科先端生命研究プログラム 博士(学術)
2010.04: ハーバード大学研究員(-2010.11)
2010.12: トロント大学研究員(-2014.06)
2014.06: 慶應義塾大学先端生命科学研究所特任講師(-2015.03)
2014.07: 東京大学先端科学技術研究センター 准教授(-2020.08)
2015.04: 慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授(現在)
2020.09: 東京大学先端科学技術研究センター 客員准教授(現在)
2020.09: ブリティッシュコロンビア大学准教授(現在)
2020.09: Canada Research Chair in Synthetic Biology(現在)

FIELD OF INTEREST

カナダ・バンクーバーのUniversity of British Columbia (UBC) に拠点を置く私達のチームでは、哺乳動物の合成生物学研究を進めています。発生や悪性腫瘍の形成など、哺乳動物の生命システムは複雑な細胞への分化とそれらが協奏する集団の進展によって支えられています。しかしながら、現代生物学はこのような複雑なシステムのダイナミクスを限られた解像度でしか捉えることができません。近年の高速分子計測技術群は、細胞、組織や個体における分子状態のスナップショットを網羅的に捉えることを可能にしましたが、これらの技術は対象とする試料を破壊してしまうために同一試料の分子ダイナミクスを大規模に計測することができません。このような課題を解決する一つの新しい方向性は、細胞の内部あるいは環境状態を「遺伝可能な人工ポリマー (つまりDNA)」に記録するようなデバイスを細胞に搭載し、細胞試料を破砕して解析する際にその試料の過去の時系列状態情報を読み出すというものであると考えています。私達の研究室ではこのような「DNAイベントレコーディング」に関連するテクノロジー開発を行い、多細胞生物の全身発生を支える細胞系譜、がんの進展やES細胞の分化などにおける細胞クローンの分子プロファイル動態、タンパク質相互作用ネットワーク動態を理解しようとしています。センサー(sensor)として様々な生体内イベントを検出する遺伝子回路、情報書込み技術(writer)としてのゲノム編集、情報書込媒体(storage)としての人工DNA、DNA情報読出し技術(reader)としての核酸シークエンシング、大規模コンピューティング技術を開発しています。

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