

| 専門分野: | 分子細胞生物学 |
| 研究内容: | 細胞内シグナル伝達 |
細胞は外部からの情報を受容体を介して水溶性・脂質性のリガンドから受け取り、 最終的に遺伝子の転写を活性化したり抑制するなどの制御を行う。 またその制御メカニズムの調節なども受容体を介したシグナル伝達によって影響を受けていると考えられる。 そしてこれらの可逆的、不可逆的な異常が様々な疾患の原因になるとともに、治療のターゲットにもなりうる。
Akt/PKBは、当初T細胞リンパ腫の原因となるレトロウイルスAKT8の発癌遺伝子v-Aktの相同遺伝子として同定され、 N端からPHドメイン、キナーゼドメイン、疎水性モチーフを有する。 Aktはアポトーシスの抑制、細胞増殖、糖・脂質代謝、細胞移動などに関与しており、 悪性腫瘍や糖尿病・動脈硬化などの生活習慣病との関連でも精力的に研究が進められている。
Aktの活性は、Thr308とSer473の二カ所がリン酸化されることにより制御されており、 Thr308はPDK1によりリン酸化され、Ser473はmTOR-Rictorの複合体によりリン酸化される。 一方、Aktには複数の結合タンパクの存在が報告されており、Aktの活性に与える影響も様々である。 我々は主に糖代謝制御の面からAktの活性調節機構に興味を持ち、Y2H法によってAkt結合タンパクの クローニングを行った。 このうちの一つはAktのリン酸化を活性化することからAPE(Akt Phosphorylation Enhancer)と呼んで 解析を続けている。
APEはAktのリン酸化やキナーゼ活性を促進するとともに、DNA合成や細胞周期の制御に関与していると考えられる。 またAPEはアクチン、チュブリン、三量体Gタンパクなどとの結合が報告されており、 その意義についてもmigrationや小胞輸送との関与が明らかになりつつある。
Akt結合タンパクのAkt活性調節機構と細胞機能に及ぼす影響の解析

図1 Aktのシグナル伝達

図2 Akt結合タンパク

図3 Akt結合タンパクによるAktリン酸化調節