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LSBMについて
序章
Omics入門
12.病気と治療の経験から逆システム学で学ぶ 
 メンデル遺伝の病気については、病気のメカニズムに全く知識がなくても、家系調査による遺伝子地図(家系調査による遺伝子地図)から原因遺伝子が同定された。病気の発症と遺伝子の変異の関連(リンケージ)から病気の原因遺伝子が次々と明らかにされた。最初に遺伝子マーカーの発見されたハンチントン病をはじめ、これまで動物実験や細胞培養での実験の困難であった神経系の病気のような領域でも、原因遺伝子の同定が大きく進んだ。
 またSNPなどのマーカーが増えるにつれて、ある病気の患者さんに多く見られる遺伝的変異をアソシエーションとして、研究する方法もすすんでいる。
 しかし、遺伝子異常がわかっても、病気のメカニズムがどのようなものか理解することは難しい。個々の遺伝子や蛋白はわかってきても、その重なりあった制御は天文学的数字の組み合わせとなり、全体を系統的に理解できるわけではない。むしろ病気から、我々の生活の中で、制御の仕組みで重要なメカニズムが理解できるチャンスと考える。
 システム生物医学というと、多い誤解は、コンピューターで様々な微分方程式をといて、生命をシミュレーションする学問と間違えられることである。だが実際には我々は、人体のシステムをまだ十分には知らない。また人体内の調節制御の仕組みというのは時間とともに、成長とともに変化している。現実のシステム生物医学はいわば「群盲、象をなでる」というような沢山の情報からシステムを推測している段階である。「逆システム生物医学」という方が内容を良く表わしているかもしれない。
 本書では我が国の臨床において重要であり、又治療法について考えるべき点の多い、癌と、生活習慣病、自己免疫疾患につき、システム生物医学からの、「多重フィードバックによる調節制御」と「cell mapにおける調節制御の変化」についてのべ、治療法の考えかたを紹介する。

2005年6月に羊土社から刊行予定、許可なくして複製・転載を禁止します。