 |
 |
■序章
Omics入門
|
 |
■第一章
ゲノミクス:静的な「遺伝子」からダイナミックな「ゲノム」へ
|
 |
 |
■第二章
ゲノミクス:静的な「遺伝子」からダイナミックな「ゲノム」へ
|
 |
■第三章
逆遺伝学と逆システム生物学
|
 |
■第四章
ゲノミクスから推定される制御系の全体像
|
 |
■第五章
クロノバイオロジー |
 |
|
|
|
10.プロテミクス:蛋白複合体から制御を理解し薬を作る (第7章)
これまでの考察は蛋白が時間とともに、修飾され、他の蛋白や脂質との相互作用を変え、場所を変えて生命の制御を司ることを示して来た。蛋白は二重ラセンのDNAと比べ、桁違いの多様性をもち、その構造を解析するのは難しかった。しかし、図序−11に示す月原富武らのチトクロームCオキシダーゼ酵素複合体のX線結晶構造解析は、13のサブユニットからなる巨大な膜蛋白複合体でも結晶化できることを示し、世界を驚かせた。
ノーベル賞を受賞した田中らにより開発された質量分析による蛋白の同定法は、この状況を大きく変えた。ある場所にある蛋白をすべてとってきて切断して質量を系統的に決定することにより、どんな蛋白があり、どんな修飾をうけているかを網羅的に解析できるようになってきた。
生命の制御の様子はセンサー/伝達系/アクチュエーター(効果器)の3つのレベルで蛋白科学として検討される。膜の直下でのシグナル伝達にかかわる複合体や、転写因子の複合体が、時間とともに変化していく様子からシグナルのクロストークが始めて明らかになっている。
質量分析での系統的な解析をおこなっていくには、細胞のオーガネラやベシクルをうまく分離することが鍵となる。蛋白の検出と分離には、2つの方法が用いられる。一つは抗体である。抗体は、自然のままの蛋白の検出と分離に有効である。もうひとつはタグ付きの蛋白を、遺伝子導入で細胞に発現させ、検出と分離に用いる。ネイティブな蛋白を見たいときには抗体が、量的に多くを感度良くみたいときにはタグが有効である。
cDNAを系統的に発現して、その相互作用を酵母の2ハイブリッド法などでデータベース化するインタラクトームという研究がスタートしている。またカイネース、プロテアーゼ、フォスファターゼなど系統的に発現した酵素で、反応特異性が調べられている。核内受容体やG蛋白質共役型受容体を系統的に発現してリガンドを検索することから、画期的な医薬品が生まれている。核内受容体やG蛋白共役型受容体は医薬品探索の宝庫と考えられている。
生命の制御系を系統的に検索していく研究が始まっている。だが実際の蛋白の発現や、構造決定は、引き続きスピードアップが難しい。あらたな方法の開発が必須である。RNAiにより、系統的にユビキチンリガーゼを抑制して溜まってくる蛋白を見ることで、蛋白分解による細胞の制御がわかることはそのよい例になるであろう。

|
|
|

|