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LSBMについて
序章
Omics入門
9.空間的な変化とイメージング(第6章)
 時間的とともに蛋白は空間的に移動する。細胞は細胞膜やミトコンドリア、小胞体や核からなる。蛋白は合成されるとともに、プロセッシングされ、修飾されながら細胞の中を移動していく。
 この分野はイメージング技術の進歩で一変した。クラゲの蛍光発光蛋白GFPを用いて、我々のウェッブシトのムービーに示すアクチンコメットとよばれるアクチンの彗星を思わせる動きのように、生きた細胞で蛋白の局在が観察できるようになった。そこから、酵母ではすべての蛋白の局在をGFP融合蛋白で同定する研究が進んでいる。これを蛋白局在の系統的解析ということでローカリゾームという。
 蛋白の局在とともに、脂質の局在もわかってきた。細胞膜の表と裏ではフォスファチジルコリンとフォスファチジルセリンの比率が違うことは昔から知られていたが、最近コレステロールに富んだラフトという膜ドメインがシグナル伝達やアルツハイマー病の発症に重要なことがわかってきている。またフォスファチジルインシトールのリン酸基の数の差により集積する蛋白が異なっていることもわかってきてPIP2、PIP3リッチなドメインがアクチンやPI3カイネースの働きに重要なこともわかってきている。こうして脂質と蛋白の局在を同時に考えることが大事になっている。
 蛋白や脂質などがある場所に集まることにより、そこでシグナルが伝達され、物質代謝が行われる。細胞膜表面のセンサーが感知した情報も、膜から移動していく蛋白などにより核内に伝えられる。こうして空間的な移動が調節に大きな役割を果たす。

2005年6月に羊土社から刊行予定、許可なくして複製・転載を禁止します。