我々は、朝になると起きて、夜になると寝る、24時間周期の生活を送っている。こうした時間とともに変化する制御は、どのように制御されているのだろうか。最近、Hesという遺伝子の産物の蛋白が、自分の遺伝子の活性化を抑制することにより周期的な蛋白合成が行われることがわかってきた。これが生物時計のメカニズムとして注目されている。
図序−10に示すように、Hes1遺伝子で作られる蛋白Hes1は自分の遺伝子の制御領域に結合して自分の転写を抑制する。細胞の中でHes1蛋白は時間とともに分解されていくのでHes1蛋白が減ると、またHes1遺伝子が活性化される。こうして蛋白とRNAの濃度が対称的に変化する。
こうした制御のメカニズムはDNAだけ、RNAだけ、蛋白だけをみていく従来のomicsでは解析できない。RNAの合成と分解のスピードと蛋白の合成と分解のスピードの関係が周期的な反応を生み出すのである。促進系と抑制系のネットワークで時計が作られる。細胞周期やDNAの複製でも細胞のもっている時計の機能は大切である。
遺伝子の活性化を時間とともに追っていくと、一つのシグナルで次々と遺伝子の活性化反応がおこることも多い。これをカスケード反応という。蛋白の合成を阻害する薬をいれておいて、遺伝子の活性化をみていくと最初の活性化と、次の反応が区別される。システム生物医学ではこうした時間とともにおこる制御のルールも明らかにする。また年齢とともに、成長期、成熟期、老年期におけるシステムがどのように変わっているかのメカニズムも重要なテーマである。

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