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LSBMについて
序章
Omics入門
6.リンケージ解析からレギュラトリー・ゲノミクスへ(第3章)
 ヒトのゲノムでは500塩基から1500塩基に1つの変異が発見される。このうち、アミノ酸配列の変化になるのは1%程度であり、大半は調節制御の変化を生み出すことになる。
図序−8に示すハプロタイプという概念も生まれている。ヒトゲノムは1世代ごとに、父親と母親からのDNA配列が、減数分裂の間に組み替えられ、新しいハプロタイプをもった精子と卵子が作られる。これが子供に伝えられる。遺伝的変異は1世代の複製毎に1億塩基につき1個の読み間違いが生まれるが、これらが新しいハプロタイプにくみこまれていく。
 メンデル遺伝型の病気ではリンケージ解析で、病気のメカニズムはわからなくても、原因遺伝子を推定することから画期的な成功をおさめた。さらに非メンデル型の多数の変異と環境因子のかかわるガンや糖尿病などの生活習慣病についても、SNPやマイクロサテライトマーカー、DNAチップによるトランスクリプトーム解析の組み合わせから、発症機構をさぐり、あらたな治療法を発見しようとする試みが急ピッチで進んでいる。
 ここで大事なのは、遺伝子型により表現型がきまるメンデル遺伝とはことなり、多因子の疾患では遺伝子変異の直接的影響は非常に見えにくいということである。高血圧にかかわる遺伝子のコピー数を変異させる実験から、アンギオテンシン変換酵素の遺伝子数を1コピーから3コピーにかえても、血圧はほとんど変わらない。しかしこの遺伝子の変異は他の遺伝子やタンパクの発現を変動させている。そこからこの酵素阻害剤が高血圧のよい治療薬になることが証明される。実際にACE阻害剤は世界の臨床で高血圧治療に有効性を示している。
 遺伝的変異の効果を考えるには多因子疾患の場合は、まず変異がさまざまなRNAやタンパクの発現にあたえる影響をもるのが大事なステップである。制御領域のSNPと、mRNA配列中のSNPを組み合わせてみることにより、一人のヒトの細胞の中で変異の制御にあたえる影響をみられる。こうしたレギュラトリー・ゲノミクスという領域が急速に進歩している。



2005年6月に羊土社から刊行予定、許可なくして複製・転載を禁止します。