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2016.03.07

報告:研究交流会「理論分子科学・分子非線形科学のこれまでとこれから」

日時:平成28年3月5日—6日
場所:東京大学先端科学技術研究センター3号館M2階セミナー室
オーガナイザー:牛山浩(東大工)・重田育照(筑波大数理)・高橋聡(東大総文)・藤井幹也(東大工)・山下雄史(東大先端研)

現在、基礎科学から工学・薬学・医学の応用に至る広い分野において分子ダイナミクスが本質的に重要になる場面が目立つようになってきた。一方で、スーパーコンピュータ「京」が象徴する計算機発展によって分子理論の応用範囲が爆発的に広がっており、さらに分子理論の重要性は高まっていくと期待される。このような流れを深く理解し、将来的な展開を議論するために、今回の研究交流会が開催された。

本交流会では、理論分子科学・分子非線形科学を専門とする若手・中堅研究者により17件の講演がおこなわれた。内容は、アト秒電子ダイナミクス・タンパク質ダイナミクス・創薬・エネルギー変換・秩序形成・半古典理論・応用数理に渡る広範なものとなった。しかし、分野の違いを超え、理論的観点から活発に議論がおこなわれた。(盛り上がりすぎて、質疑時間を超えることも多くあった。)

また、当該分野を全般的に牽引されている東京大学大学院総合文化研究科の高塚和夫先生をお招きして、様々な座標軸における分野の拡大・連携・社会貢献の可能性を講演していただいた。時空間の各階層において、有効な理論構築をする重要性が示唆されるとともに、各階層における未解決問題について議論がなされた。



プログラム


3月5日(土)

13:15-13:20 はじめに(牛山 浩)
座長:重田 育照
13:20-13:40 牛山 浩(東京大学大学院工学系研究科)
「不均一触媒反応の理論化学」
13:40-14:00 新崎 康樹(東京大学大学院総合文化研究科)
「非断熱動力学と実時間光電子分光によるその観測」
14:00-14:20 藤崎 弘士(日本医科大学物理学教室)
「生体分子におけるパスサーチ・パスサンプリング」
14:20-14:40 柳尾 朋洋(早稲田大学基幹理工学部)
「多自由度分子系の集団運動における変形と回転の幾何学的効果」
14:40-15:10 休憩
座長:藤井 幹也
15:10-15:30 重田 育照(筑波大学大学院数理物質科学研究科)
「化学における動力学と統計について」
15:30-15:50 山下 雄史(東京大学先端科学技術研究センター)
「理論化学から見たタンパク質科学・創薬科学」
15:50-16:10 米原 丈博(東京大学大学院総合文化研究科)
「外場駆動反応電子動力学の研究」
16:10-16:30 菅野 学(東北大学大学院理学研究科)
「擬交差領域を通過する化学反応における電子ダイナミクスのエネルギー解析」
16:30-16:50 休憩
座長:高橋 聡
16:50-17:50 高塚 和夫 (東京大学大学院総合文化研究科)
「分子科学における理論の階層性—理論の進展と将来」

3月6日(日)

座長:牛山 浩
9:30- 9:50 高橋 聡(東京大学大学院総合文化研究科)
「分子ダイナミクスの半古典的記述を越えるために」
9:50-10:10 八木 清(理化学研究所)
「振動モードと断熱性についての理論的研究」
10:10-10:30 山本 典史(千葉工業大学工学部)
「計算科学によるプリオン病感染メカニズムの研究」
10:30-10:50 寺本 央(北海道大学電子科学研究所)
「Classification of Hamiltonians in neighborhoods of electron energy level crossings in terms of the theory of singularities」
10:50-11:10 藤井 幹也(東京大学大学院工学系研究科)
「解離反応:クラスターの蒸発解離と有機薄膜太陽電池における電子正孔解離」
11:10-11:25 休憩
座長:山下 雄史
11:25-11:45 奥山 倫弘
「電子ダイナミクスと電子フラックス解析法の理論」
11:45-12:05 小田切 健太(専修大学ネットワーク情報学部)
「環境と相互作用する粒子集団の秩序形成」
12:05-12:25 山本 憲太郎(東京大学大学院総合文化研究科)
「光触媒的な水分解における電荷分離の機構; 非断熱的な解析」
12:25-12:45 松岡 貴英(東京大学大学院総合文化研究科)
「強光子場における水素分子の光イオン化過程の電子動力学」
12:45-12:50 おわりに(重田 育照)


(報告:山下雄史)