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2009.11.06

最先端研究開発支援プログラムに採択決定
−「がんの再発・転移を治療する多機能な分子設計抗体の実用化」−

最先端研究開発支援プログラム(FIRSTプログラム※)は、様々な分野及びステージの研究を対象とし、3〜5年で世界のトップを目指した先端的研究を推進することにより、産業、安全保障等の分野における我が国の中長期的な国際的競争力、底力の強化を図るとともに、研究開発成果の国民及び社会への確かな還元を図ることを目的とした、「研究者最優先」の研究支援制度として創設されたものです。
(※ Funding Program for World-Leading Innovative R&D on Science and Technology)
内閣府 科学技術政策ページ

平成21年9月4日に開催された第84回総合科学技術会議に於いて、東京大学先端科学技術研究センター(先端研)システム生物医学ラボラトリー(LSBM)ディレクター 児玉龍彦教授を中心研究者とする研究課題が、最先端研究開発支援プログラムに採択されました。

本プロジェクトの開始にあたり、新たな研究組織 Mdadd (Molecular Dynamics for Antibody Drug Development) を発足させます。

MdaddではLSBMが確立した機能性抗体医薬品の分子設計技術を発展させ、進行がんの治療薬の開発を目指します。 ゲノム解読成果を基に、がんの「ゲノム抗体医薬品」を、コンピュータシミュレーションを駆使することで世界に先駆けて設計し、臨床試験を開始します。 これにより、我が国に多い癌種を中心に、再発・転移した進行性がんに対しても副作用の少ない画期的な方法による治療が可能となります。


Mdadd:進行がんの治療薬群を生み出すためのプロジェクト

[目標]

治療が困難な「再発・転移がん」の診断と治療が同時に行え、副作用の少ない「多機能分子設計抗体の医薬品化」を5年間で開発します。 我が国の世界トップレベルの「モノクローナル抗体ライブラリー」から「がん」に対するリード抗体を選抜し、世界最速のコンピュータシミュレーションにより人工抗体を設計します。イメージングによる体内動態の解析を進め、「進行がん」の治療薬群を生み出します。 また、抗体医薬品は副作用の少ない画期的な分子標的薬として、世界で4兆円産業に急成長しています。連続的イノベーションにより4兆円の「世界抗体医薬品市場」を一気に作りかえます。

[組織]

本プロジェクトは東京大学の学内連携(先端研、大学院工学研究科、新領域創成科学研究科、附属病院)を拠点とし、中外製薬(株)、富士フイルム(株)、富士通(株)、大阪大学、(株)セリッシュエフディーにより推進されます。

[構想]

東京大学附属病院の臨床サンプルから標的タンパク質を同定し、モノクローナル抗体のライブラリを構築し、肝臓がん治療抗体「グリピカン3」をアメリカで臨床試験入りさせました。 さらに数種類のヒトがんについてリード抗体を選び、ヒトがん細胞移殖マウスでのPETイメージング法を用いて、段階的な実用化を目指します。

  1. 抗体の体内動態と治療効果の解析
  2. アイソトープやトキシン結合での抗体機能の増強
  3. 結晶構造に基づくプレターゲティング抗体の精密設計
  4. 大腸菌、CHO 細胞での医薬品としての実用化と製造技術開発
  5. 参加企業と連携し、臨床試験または治験入りを目指す

プロジェクト参画メンバー

氏名所属機関名/役職分担
◎児玉 龍彦東京大学先端科学技術研究センター/教授抗体医薬品化開発
○井原 茂男東京大学先端科学技術研究センター/特任教授大規模並列計算
○藤谷 秀章富士通研究所ナノエレクトロニクス研究センター/主管研究員分子動力学
○井上 豪大阪大学大学院工学研究科/教授結晶構造解析
○岡部 尚文中外製薬株式会社/執行役員・研究本部長抗体医薬品製剤
○佐久間 一郎東京大学大学院工学系研究科/教授イメージング機器開発
○須藤 幸夫富士フイルム株式会社ライフサイエンス研究所/主席研究員イメージング薬品開発
○瀬戸 泰之東京大学大学院医学系研究科/教授がん外科
○津本 浩平東京大学大学院新領域創成科学研究科/准教授タンパク質工学
○土居 洋文株式会社セリッシュエフディー/代表取締役ヒト型アミノ酸配列設計
○浜窪 隆雄東京大学先端科学技術研究センター/教授ゲノム抗体創薬
○深山 正久東京大学大学院医学系研究科/教授がん病理
○百瀬 敏光東京大学大学院医学系研究科/准教授アイソトープ抗体治療
◎ 中心研究者
○ 共同研究者