
東大病院消化器内科の金森講師、大西准教授とともに、児玉教授は、C型肝炎のポリメレースに結合するRNA配列を同定し、将来の治療標的を明らかにする論文を 雑誌Virologyに発表したので概要を紹介する。
In vitro selectionによるC型肝炎ウイルス(HCV)のNS5B RNA dependent RNA polymerase (RdRp)に高親和性に結合するRNA aptamerの同定。GC-rich RNAモチーフの結合における役割について
HCVの複製は、NS (nonstructural)蛋白とHCV RNAが細胞内の膜構造上でreplication complexを形成して行なわれると考えられている。 最近、細胞内因子の関与が注目されているが、それでもRdRp活性のあるNS5Bが最初にRNAと結合する段階が複製開始に重要なステップと考えられる。 そこで、我々はSELEX法を用い、高親和性にNS5Bと結合するRNA (aptamer)を同定した。多くのaptamerにGC-stretchが見られ、結合に重要な働きをしていると考えられた。 aptamerはRdRpの基質としても働き、また、poly C-oligo G systemを用いたRdRp反応を抑制することがわかった。最も強い結合を示すaptamerの5'-端のGC-stretch (CGGG)を取り除くと、その結合及び、RdRpの抑制能が失われた。また、CGGG motifに変異を導入すると、多くのRNAは結合能の低下を認めた。
NS5Bのコーディング配列の一部であるstem-loop構造5BSL3.2は重要なcis-acting replication elementと考えられてきたが、その中にもCGGG配列が存在する。今回、5BSL3.2がNS5Bに結合することを明らかにしたが、そのCGGG配列に一塩基の変異を導入すると、結合が低下することがわかった。CGGG配列は5BSL3.2の約200塩基上流にも存在し、5BSL3.2のbulge配列とpseudoknotを形成し、HCVの複製に重要な役割を果たすことがごく最近報告された(Diviney et al. J. Virol., 2008)。
以上の結果は、このGC-stretchがNS5Bに認識されるRNA elementであることを示唆する。