低酸素状態と低密度リポプロテイン負荷培養条件での血管平滑筋細胞における遺伝子発現解析
コレステロールエステルが血管壁(血管内皮細胞や血管平滑筋細胞)に沈着することは生体内において動脈硬化病変形成に重要な役割を果たしていることが知られています。また、動脈血管の平滑筋細胞が存在する層の酸素分圧は2%から5%であり、通常の細胞培養の酸素分圧である21%と比較すると低酸素状態であることが知られています。
システム生物医学ラボラトリーの杉山暁(東京大学 工学系研究科修了、現 (株)ペルセウスプロテオミクス)らは、低酸素状態(酸素分圧2%)と高低密度リポプロテイン(LDL)負荷培養がヒト血管平滑筋細胞の遺伝子発現変化に及ぼす分子の探索のため、DNAマイクロアレイを用いた網羅的な遺伝子発現解析を行い、leptin、fibroblast growth factor (FGF7)、macrophage migration inhibitory factor (MIF)、dual specificity phosphatase 1 (CL100)、adipose differentiation-related protein (Adipophilin)などの動脈硬化病変形成に関わる遺伝子が低酸素とLDLの組み合わせにより相乗的に誘導されることを見出しました。
また、これらの組み合わせの条件で誘導される遺伝子の上流3kbを解析したところ多くの低酸素応答エレメント(hypoxia respose lelmentn; HRE)が存在することが確認され、2条件の組み合わせで最も発現誘導されたLeptin遺伝子のプロモーターシスエレメント解析では、leptin遺伝子の上流3Kbpを用い、3kbp内に8つある低酸素応答エレメント(hypoxia respose lelmentn; HRE) のうち-116の位置にあるHRE配列が最も重要なシスエレメントであることが確認されました。
以上のことから低酸素状態および高LDL負荷状態は培養ヒト血管平滑筋において、動脈硬化に関連する遺伝子郡を相乗的に誘導する可能性が示されました。
Sugiyama A, Wada Y, Izumi A, Kobayashi M, Kohro T, Patrick CR, Hamakubo T, Kodama T.
Transcriptional activation by hypoxia and low-density lipoprotein loading in cultured vascular smooth muscle cells.
J Atheroscler Thromb. 2007 Oct;14(5):226-34. Epub 2007 Oct 12.
PubMed
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