新規血管炎症性マーカーPentraxin3 (PTX3)は不安定狭心症の診断に有効である
急性心筋梗塞の前段階である不安定狭心症は心電図変化も少なく、また有効な血液マーカーが少なく、その診断には循環器専門医による詳細な問診によることが多い。
LSBMの当時大学院生だった森川滋博士は血管内皮細胞においてピタバスタチンによって最も抑制される遺伝子としてcDNAマイクロアレイによる解析からPentraxin 3 (PTX3)は同定されてきた。
PTX3はC反応性蛋白(CRP)とファミリーを形成している。肝臓で発現しているCRPと異なり血管内皮細胞や平滑筋細胞、白血球に特異的に発現している。いわばPTX3は血管CRPといえる。
我々はPTX3ノックアウトマウスからPTX3複合体(分子量30万から50万)を免疫して多量体認識モノクローナル抗体を作り高感度アッセイ系を作った。
正常値を50人の健常人から採血し決定したのち、高血圧や糖尿病、高脂血症で加療中であるが、胸痛症状のない患者162名のPTX3を測定した。
するとCRPと異なり、PTX3は血圧やコレステロール値、年齢や肥満、糖尿病の程度に影響されない独立した因子であることがわかった。
またPTX3は正常範囲内だった。次に冠動脈疾患を疑われたため、冠臓脈造影検査を施行された患者252名のPTX3を測定した。
するとPTX3は冠動脈形成術や冠動脈バイパス術といった治療を要する冠動脈疾患の患者で有意に増加した。なかでも不安定狭心症の患者では正常値の3倍以上の値を示した。
以上よりPTX3は動脈硬化の中でも症状の安定した'慢性'動脈硬化症では特に増加しないが、状態が不安定である'急性'動脈硬化症で増加する新たな血管炎症性マーカーであることがわかった。
Inoue K, Sugiyama A, Reid PC, Ito Y, Miyauchi K, Mukai S, Sagara M, Miyamoto K, Satoh H, Kohno I, Kurata T, Ota H, Mantovani A, Hamakubo T, Daida H, Kodama T.
Establishment of a High Sensitivity Plasma Assay for Human Pentraxin3 as a Marker for Unstable Angina Pectoris.
Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2006 Nov 9;
PubMed
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