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2006.05.15

脂質酸化物lysoPCはミトコンドリアからのROS産生を亢進する

 リゾホスファチジルコリン(lysoPC)は酸化LDLに存在する主要な脂質酸化物のひとつで、細胞へのCa2+の取り込み、活性酸素種(ROS)の産生、そしてMAPキナーゼの活性化など様々な生物学的応答をひきおこすことが知られているが、これらを結び付けるメカニズムには不明な点が多かった。
 本論文では、血管内皮細胞にlysoPCが作用すると、まず、細胞内へのCa2+の取り込みがおこり、続いてミトコンドリアへのCa2+の流入が増え、電子伝達系の電子の流れが上昇して膜電位があがる結果、ミトコンドリアからのROS産生が亢進することを示した。ROSの産生により進んだ脂質酸化の生成物がメディエーターとなってMEKが活性化される結果、ERKのリン酸化がおこることを明らかにした。LysoPCはJNKやp38のリン酸化も起こすが、上記のメカニズムはERKに特異的なものであった。
 LysoPC刺激によるERKの活性化はhemeoxygenase-1 などストレス応答遺伝子を誘導し、lysoPCによる細胞のストレス応答誘導のメカニズムのひとつと考えることができる。


N. Watanabe, J. W. Zmijewski, W. Takabe, M. Umezu-Goto, C. Le Goffe, A. Sekine, A. Landar, A. Watanabe, J. Aoki, H. Arai, T. Kodama, M. P. Murphy, R. Kalyanaraman, V. M. Darley-Usmar, N. Noguchi
Activation of MAP Kinases by Lysophosphatidylcholine-induced mitochondrial reactive oxygen species generation in endothelial cells
Am. J. Pathol., 168, 1737-1748, 2006