ヒトACAT2遺伝子の発現は、大腸型Caco2細胞と肝細胞癌で上昇する
ヒトには2種類のACAT (acyl-coenzyme A: cholesterol acyltransferase)という酵素が存在します。役割はコレステロールをコレステロールエステルとして貯蔵することです。ACAT1は全身の臓器で発現しているのに対して、ACAT2は主に小腸に発現しています。この事からACAT2は小腸でのコレステロール吸収に重要な役割をもっていると考えられています。
本論文ではACAT2の発現様式を分子生物学的に解析したものです。我々はACAT2のプロモーター領域に4個のCdx2、1個のHNF1alphaを同定しました。レポーター解析結果から、これらはサイナージックにACAT2を発現させることがわかりました。Cdx2, HNF1alpha、ACAT2は未分化型Caco2細胞(大腸形質を呈します)では発現していません。しかし、分化するに従い小腸形質に変換されると発現してきます。未分化Caco2にCdx2, HNF1alphaを遺伝子導入しますとACAT2の発現が誘導されるのに対し、分化したCaco2に、RNAiでCdx2, HNF1alphaの機能を抑制すると、ACAT2の発現が低下します。
以上より、細胞レベルでもCdx2, HNF1alphaはACAT2発現に重要な転写因子であることがわかりました。一方、正常肝組織にはCdx2やACAT2はほとんど発現していません。しかし、肝細胞癌の細胞株でありますHepG2ではCdx2, ACAT2の発現が見られます。肝細胞癌患者の肝組織でもACAT2の発現が見られることから、肝臓でのACAT2の発現上昇が新たな肝癌マーカーになる可能性も示唆されています。
Song BL, Wang CH, Yao XM, Yang L, Zhang WJ, Wang ZZ, Yang JB, Qi W, Yang XY, Inoue K, Lin ZX, Zhang HZ, Kodama T, Chang CC, Liu YK, Chang TY, Li BL.
Human acyl-CoA: cholesterol acyltransferase 2 gene expression in intestinal Caco-2 cells and in hepatocellular carcinoma.
Biochem J. 2005 Nov 8
PubMed
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