分子シミュレーションを使った抗体設計

分子シミュレーションを使った抗体設計

抗体設計に関するレビュー論文が日本免疫学会の欧文誌International Immunologyに掲載されました。

Takefumi Yamashita “Toward rational antibody design: recent advancements in molecular dynamics simulations”, International Immunology, Volume 30, Issue 4, 3 April 2018, Pages 133–140, https://doi.org/10.1093/intimm/dxx077

本論文では、この8年間取り組んできた分子動力学(Molecular dynamics, MD)計算を活用した抗体設計について解説しています。抗体の研究を始めた2011年当時は、抗体設計にMD計算を用いて抗体と抗原の形とダイナミクスを精密に調べることは、実用的ではないと思われていました。しかし、「京」をはじめ強力な演算性能を誇るスーパーコンピュータが登場し、効率計算のための理論やアルゴリズムが多く開発され、現在では抗原認識部位のアミノ酸残基の役割や抗原結合に誘起される重要な構造変化など計算から見えるようになってきました。MD計算が、抗体設計の問題の全てを解決した訳ではありませんが、抗体設計を支援するツールとして地位を確立したと考えています。

本論文では、広い読者層を想定し、MD計算の基本から実践・応用までを丁寧に書いていますので、学生や異分野の方にも分かりやすいと思います。

図:抗原抗体複合体の例(黄色のリボンは抗原、オレンジのリボンは抗体、周囲の白のボールは水分子を表す。)